コンテナハウスの屋根連結と雨仕舞

はじめに

コンテナハウスは単体では床面積が限らていて、床面積が足りない場合は複数のコンテナハウスを連結・連棟して、広々した空間が作れることはご周知のとおりです。しかし、この場合、連棟・連結した後のコンテナハウス連合体の屋根には、屋根排水、接合部の雨漏り、コーキング材劣化による不具合など、多くの問題が潜んでいます。本文はこれらの問題原因を分析し、Uni-Kon独自の屋根設計案を提示しながら、コンテナハウス屋根連結の対策をご紹介いたします。

単体使用では、素晴らしいISOコンテナの屋根設計

コンテナハウスの雛形はISO貨物コンテナなので、屋根がそのままISOコンテナのコルゲート鋼板屋根にする場合が殆どです。このISOコンテナ屋根は入念な設計を経てできたものに違いありません。一見したところ質素な屋根版は、素晴らしい強度(詳細はこのページへ、コンテナハウスの屋根って、どれくらいの積雪荷重が耐えられるの?)だけでなく、排水対策もちゃんと講じられています。ISOコンテナのコルゲート鋼板は平鋼板を金型プレス成型加工(上下2枚の金型がすごい力で鋼板をかみ合わせて成形させること)を経て作られ、強度を持たせるリブ(凸凹)を成型する同時に、金型自体には微小のアーチ形状を持っているので、成形された屋根版にも中間が上に膨らんで、両側が低いアーチ形状になります。この形状によって、コンテナ上部ある雨水は一滴も溜まらずに最短距離を経てコンテナの両側の地面に排水されます(下図のように)。

緩いアーチ形状のコンテナの屋根と排水方向
緩いアーチ形状のコンテナの屋根と排水方向

雨水が溜まらないこと、これは水に弱い鋼鉄製屋根にとっては何よりいいことです。ペンキはあるものの、いつまでも健全状態にメンテされるとは限らない一方、長期にわたる水浸しによりペンキ層自体も水分子に浸透されがちなので、決して塗装があるからとうっかりして排水対策を考えなくてもよいものではありません。

ISOコンテナ屋根の強度・剛性・踏む感覚・屋上として利用する時の問題

ちなみに、ISOコンテナの屋根の強度・剛性はどれくらいかと聞けば、ISOコンテナの屋根の上に登った経験のある方はまだ少ないと存じます。実際に踏んでみた感触と言えば、ふにゃふにゃで、脚踏んだところが撓んで凹んでいき、足が離れた途端にまた弾んで復元します。この前の記事コンテナハウスの屋根って、どれくらいの積雪荷重が耐えられるの?の中に、結構積雪荷重が耐えられると書いてありましたが、それは積雪のような均等に分散された荷重だからです。人間の体重が一足に集中したところで、やはり屋根板のアーチ形状が保てなく、凹んでいきますね。が、足が離れれば、また元の形状に戻ります。

この強度・剛性は、屋根の機能自体としては、別に問題ないですが、屋根の上に何かの設備を据え付けたり、そのままデッキを敷いたりするのはさすがに問題になります。なぜかというと、部分的な荷重を載せたところが凹んでしまい、水が溜まりやすいからです。この溜水は絶対に後日の屋根錆に発展していきます。

コンテナハウスを連棟使用時の屋根問題

上記のように、ISOコンテナ屋根は素晴らしい設計であります。しかし、この設計は「コンテナは貨物運送容器として単独で使用される場合」の前提条件の下で講じられたものです。連棟で使用する場合、思いがけぬ困難と問題が次々と現れます。

海上コンテナ方式のコンテナハウス屋根の排水問題,
中古ISOコンテナハウスの屋根連結部、完全にシーラントに任せる雨仕舞
従来コンテナハウスのコルゲート鋼板屋根の連結部の水溜まり・雨漏れ
従来コンテナハウスのコルゲート鋼板屋根の連結部の水溜まり・雨漏り

上図が表しているのは、二つのコンテナハウスが並べて連結した場合屋根の雨仕舞方法の簡略図です。前にも提示したように、コンテナハウスの屋根はISOコンテナと同じコルゲート鋼板を使用した場合、アーチ形状の屋根が並列し、連結することになります。端っこならともかく、中間にある屋根連結部はいずれも二つのアーチ屋根の脚部分に当たり、雨水溜まりが免れないことは一目瞭然です。この連結部分の処理は各業者によって、処理方法は多少違いますが、ほぼ変わらないのは止水カバーとかで大きいギャップを埋めてから、大量のシーラント(コーキング材)を施して雨仕舞とする方式です。この方式の欠点も明らかです。屋根なので、コーキング材は強い紫外線による劣化は言うまでもなく、日差しによって鋼鉄屋根版表面の昼夜温度差(場合によっては60℃以上の温度差も、しかも一日ごとに繰り返される)が激しく、熱膨張による亀裂も他の建築形式より遥かに顕著です。コーキング材の亀裂・劣化による雨漏れの直接被害は想像しやすいです。被害部位付近の断熱材・内装ボード・壁紙・家具・電気設備・布団などがぐちゃぐちゃになってしまいます。例え漏れないとしても、前述したように長期にわたる水浸しによって、屋根版塗装自体が水分に浸透され、生地鋼鉄での深層腐食が発生した場合、コンテナ躯体構造が損傷を受けるような深刻問題があります。

Uni-Konのコンテナハウス屋根連結方式

連棟連結時、こんなに不具合の多いコンテナ屋根、何かほかの方法はないのですか?残念ながら、ISOコンテナ屋根をそのまま流用する以上、アーチ形状の屋根である以上、上記の問題は物理的に避けられないです。但し、「流用する以上」との前提での話なので、「流用しなければ」これらの問題は解決できます。(トタン屋根、ガルバリウム鋼板屋根など、連棟連結したコンテナハウスの上にさらに全体を覆う大屋根を作る方法もありますが、コストも掛かるし、台風などの災害にも弱いし、そんなことをしたら、わざわざ「低コスト」「頑丈」なコンテナハウスを選ぶ意味が薄められてしまう気がするので、本文では論外とします。)

Uni-Konは、このようなコンテナハウス連棟連結時の屋根問題は設計段階から抜本的に解決すべくと考えております。具体的に言うと、消極的に屋根連結隙間をコーキング材で一生懸命に埋めるのではなく、積極的に連棟時であっても雨水溜まりのない屋根排水を設計すべきだと考えます。このような理由で、弊社は連棟コンテナハウス案件にISOコンテナ屋根をそのまま流用することは少ないです。

コンテナハウス屋根連結連棟排水横方向
コンテナハウス屋根連結連棟排水横方向、この施工事例を見るならリンクを:事務所・倉庫コンテナハウス

例えば、上図のように、比較的に小さめな2台連棟の場合は、コルゲート鋼板をそのまま使用しますが、連棟の端っこに当たる上梁を下げ、片側低い斜め屋根コンテナハウスにします。このような斜め屋根コンテナハウスを2台連棟して、ちょうど屋根連結部が屋根の最高点に当たり、雨水が溜まらず、両側が低く排水もスムーズになり、止水も楽になり、一方的にコーキング材・シーラントに頼らなくなります。(補助的な少量使用は必要です。)

コンテナハウス屋根連結連棟排水縦方向
コンテナハウス屋根連結連棟排水縦方向、実際の施工事例を見たいなら:施工事例オフィス・事務所コンテナ

また、もう一例では、上図のように、2台以上或は横方向の排水が制限される場合、縦方向の排水(コンテナの短い辺に排水)の手もあります。この場合、ISOコンテナ屋根版は使用できなくなり、特別に加工される屋根版を使用することになります。また、コンテナ輪郭線範囲内(これはコンテナとして運送できる条件)で排水勾配を付けるため、短い端部上梁を下げ、40Ftでは両端排水、20Ftでは一端排水の斜め屋根にします。こうすることによって、屋根の排水面がコンテナ同士の連結隙間部より地勢的に低くなり、前例と同様に、止水上ではカバーを付けて簡単に止水出来て、一方的にコーキング材に頼らないです。この形状の屋根は連棟連結時のコンテナハウスには最適で、コンテナの長手側がくっ付いて平行並べて設置する時、台数の制限なく自由に連棟できます。また、排水がすっきりになるこの屋根では、太陽光発電ソーラーパネルの搭載や屋上デッキ設置などの多様利用にもとても向いています。

新型コンテナハウス屋根の連結方式と止水方式
新型コンテナハウス屋根の連結方式と止水方式
コンテナハウス屋根連結連棟排水縦方向実例
コンテナハウス屋根連結連棟排水縦方向実例
fn2 屋上テラスデッキ付き店舗用コンテナハウス-工場内生産、躯体完成
勾配屋根の下には母屋(下地材)が多数設けられ、頑丈に屋根板を支えている

上図のように、端部勾配方式の屋根は下に支え材(母屋)が多数設置され、屋根板自体の凸凹波形状による強化効果と相乗して、ものすごい頑丈な屋根表面が得られます。これは屋根排水が確実に有利になるだけではなく、屋上空間の応用にも盤石な条件を提供したのです。

Uni-Konの勾配式コンテナハウス屋根のメリットは他にもある:

k 屋上テラスデッキ付き店舗用コンテナハウス工場内仮組―屋上デッキ下地
Uni-Kon式勾配屋根の上に載せる屋上デッキテラスの下地、詳細は施工事例-屋上デッキ付きコンテナ飲食店

このような勾配屋根にすると、コンテナ屋根排水・雨仕舞の問題が解決されただけではありません。実は、他に多くの可能性を広げてくれました。排水や水溜まり、そしてそれに続くメンテナンスの心配がなくなり、とことん屋根空間を利用できるようになります。

まずは、コンテナの上に屋上デッキテラスを敷くことで、建築面積同等の屋上空間が得られます!Uni-Konには、屋上デッキを設置する時の注意点、実際の屋上デッキ付きコンテナハウス施工例は豊富なので、是非お読みになってください。

次に、ISOコンテナのふにゃふにゃ屋根を無くし、頑丈なラーメン構造のコンテナ大梁を最上位置に暴露することによって、屋上設備据付用のラックなど構造が簡単且つ安定に固定できます。こうすることによって、屋根に固定するのに行ういかがわしい屋根貫通作業(屋根板にビス孔を開けたり、ボルトを通ったり)はしなくても済みます。太陽光発電用のソーラーパネル、太陽熱温水器の装着は無論のこと、工業設備用の冷却塔もコンテナ屋根の上に装着できるようになりました。

勾配屋根にしても、天井高さは損なわず、依然と2.5m

上記の内容で、勾配屋根にしたら天井高さは低くなるのではないかと心配される方がいるかと存じます。その心配は要りません。Uni-Konが工夫して、勾配で侵食される空間は従来の利用しずらい上梁間の小屋裏空間だけで、結局勾配屋根しても、天井高さは依然と通常のハイキューブコンテナハウスと同様の2.5mです。通常のコンテナハウスの天井高さの計算についてもっと知りたい方はコンテナハウスの天井高さまでお読みください。実際の勾配屋根事例で完成後の室内天井高さを見たい方は施工事例オフィス・事務所コンテナハウスまでご覧ください。

終わりに

以上をもって、従来のコンテナハウスの屋根連結と雨仕舞の問題点をご紹介した上、Uni-Kon独自設計開発した連棟用のコンテナハウス屋根連結案もご紹介させていただきました。この雨仕舞設計によって、水が溜まりやすい、連結しにくい、ふにゃふにゃで利用しずらいISOコンテナ屋根の欠点を一気に省きました。斬新なコンテナ連結用の可能性(例えば集合住宅・アパート用連棟コンテナハウス)、屋上空間の利用性を繰り広げて見せたのです。詳細に連棟コンテナハウスを検討されている方、連棟屋根で困っているのなら、JIS鋼材の新造コンテナハウスを専門設計・製作・販売するUni-Konにお声をおかけください。

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