中国からコンテナハウスを購入する時の問題(その2)――設計篇
はじまり:
建築費を抑えるのに、中国から建築基準法に則ったコンテナハウスを購入する方法を思いついた施主様は多くいる存じます。既往の建築経験を生かし、このことも「建築士が図面を作成し、中国工場に渡し、見積ってもらって・生産してもらう」のように簡単に考えがちかもしれませんが、実はそう簡単ではありません。
建築士に相談したり、コンテナハウス工場を探したりなどの初歩段階からも徐々に認識してくると存じますが、中国からコンテナハウスを購入するということの中には沢山の「見える問題」と「見えない問題」が潜んでいます。
本文は3部分(理解疎通篇、設計篇、現場監督篇)に分けて、これらの問題を列挙して説明する同時に、Uni-Konがどのようにこれらの問題を解決できるかをご紹介いたします。
本篇は全文の第2部分で、中国からコンテナハウス購入する中期に遭遇する設計・施工など――設計周りの問題を取り上げてご紹介いたします。第1部分の購入前期・初期の理解疎通篇を読みたい方は、こちらのリンクでアクセスしてください。「中国からコンテナハウスを購入する時の問題(その1)――理解疎通篇」
第二部分:見えない問題――設計篇
問題4:設計段階に「ギャップ」があるとの問題
コンテナハウスの設計は、日本建築士と中国工場設計者の協力の下で行うことが殆どです。一見してプロたちの組み合わせなので、安心して任せられると感じますが、実はこの「プロたちの協力」の中に、一つ大きなギャップがあります。まず、日本建築士様の場合、施主様の要望に従って、全体レイアウトや開口部などを設計し、平面・立面図などの図面を描きます。しかし、以下の理由でこれらの図面は未熟な部分が多く、細部の精度が悪く、ほとんどの場合、概念イメージ図としてしか使えません。
1) コンテナハウス建築にはコンテナ的な要素が多く、それらの要素きちんと理解・把握していない
2) 従来の建築は現場作業が多く、部材間調整余地も大きく、別にそこまで精度を拘る必要もない
3) 2次元CAD図面+人間頭脳で線条一本一本を描くので、ミスがあってもしようがない
4) コンテナハウス建築が建築費が安く、大した設計料が儲けられず、積極性が足りない(ごく少数、普遍的ではありません。)
そして、中国工場設計者の場合、生産現場におり、コンテナにも詳しく、比較的に正確な図面は描けますが、以下の理由で契約する前に図面描きどころか、検討さえも力を注いでくれません。
1) 工場は人件費抑制のため、設計者は常に人手不足で、見積積算、材料積算、生産現場の突発問題処理で手一杯
2) 言語が通じず、通訳を通して曖昧な情報の下で、まともに検討しようもない
3) コンテナハウスは特注生産なので、特に連棟コンテナハウスなどの図面作成は膨大な設計作業である
4) 設計者は固定月給が殆どなので、受注案件の多少が仕事負担と比例する割に、給料の増減とあまり関係なく、モチベーションが足りない
結果、お客様が工場と契約する前の長い間、日本建築士の描いた大雑把な図面の下で、大よその見積と口頭での概略検討以外、工場側は何もしてくれません。そして、契約後、材料仕入れ、工期、納期が迫っているので、お客様と一緒にゆっくりと慎重に細かいところまでいちいち考える余裕も(そもそも動機も)なくなり、とにかく図面を早く終わらせて生産に回すことになります。
このように、コンテナハウスに慣れていない日本建築士とやる気の足りない工場設計者だけで行った設計検討は、進捗が鈍く、実質的な内容が少なく、形だけの検討になります。本来生産する前で綿密な検討を通して真剣に排除すべき設計問題(例えば、雨仕舞、局部結露、配管衝突などの問題)はろくに検討されず、契約後生産直前の短い何日間で急遽に対応されることなります。問題の一部は発見されず、そのまま製品の中に残されても別におかしくないですね。
Uni-Konの対応
Uni-Konは上記の設計段階のギャップを生じない設計連絡体制を確保しています。お客様と契約する前に、既に建築士様の図面或は施主様の描いたイメージ図の元で、市場材料供給の実況、工場製作上の都合・意見などを取りまとめて、精密な3次元モデル(単なる意匠パース用ものではなく、ミリ単位な精密さで、そのまま生産に使えるもの)を起こします。3次元モデルを起こしたら、コンテナハウスの外観確認ができるだけではなく、複雑な内部構造、断面構造、各設備や配管などの相対位置・干渉検査・測量など綿密な検討ができるので、まさに実物が出来上がったようになります。そして、正確な内部外部パース・場合によっては図面一部をお客様に無償提供し、契約する前、既に設計上の問題点、不安点、疑問点を全部打ち消し、ばっちりの製品づくりの基盤を備えます。(但し、原則としては、モデルデータごとの転送、契約前の加工用図面の転送を控えさせていただきますので、ご了承ください。)
3次元モデル化により早期発見・回避できた設計ミス例
例1)2次元図面では、ボルトの配置位置は狭小隙間の中にあり、事実上は使えないとの設計ミスです。3次元を起こしたら、そのことがすぐわかります。もしそのまま生産納入したら、大問題になります。
例2)前方構造の遮りによって、2次元図面では625㎜に見える部材(下図下半分)が実際のところ635㎜なるはずです。3次元(下図上半分)では部材全身が見えるので、そのようなミスは生じません。2次元図面のままで加工したら、窓が入らないぐらいなら良いが、基礎アンカーボルトが入らないのは怖いですね。
問題5:図面正確度・生産精度の問題
問題4にも提示したように、生産図面は契約後、材料仕入れ前の短期間内で急いで描かれ、特に工場によってはまだ2次元CADソフトで製図することが多く、製図者の手違いによる図面上の錯誤はしょっちゅうあります。経験上では、特に部材にボルト孔が多数存在する場合は尚更です。これら図面上の錯誤は生産現場作業員に発覚されなかったら、そのまま実際の問題製品になります。
Uni-Konの対応
Uni-Konは問題4の対応にも述べたように、お客様、建築士、工場ととことん検討確認の上に完成した3次元モデルから部材加工図面を自動的に製図し、そのまま生産現場に配布します。これで、人的ミスによる間違いが完全に断絶できます。
下図は弊社が受注したコンテナハウスの梁部材加工図面の一部です。梁に孔が多く開けられていることにご注目いただきたいです。これらの孔は、組立完了時ではもう加工困難なため、部材段階で加工しなければなりません。孔の個数や位置は梁ごとに違うので、30本以上の梁が同一長さであっても孔位置・個数の違いでそれぞれ違う部材になります。このような時、従来の2次元図面+人間頭脳の製図方式では、部材の加工や管理に多大な混乱とミスが免れません。Uni-Konは工場に自動図面を配布することによって、「加工ミスゼロ・クレームゼロ」の納品実績を遂げ、お客様に大変満足していただきました。
終わり:
以上、中国からコンテナハウスを購入する中期に遭遇する設計周りの問題をご紹介いたしました。意外と見えないところにも、こんなに問題がたくさん潜んでいますね。コンテナハウスを購入されたい方、くれぐれもご注意ください。
次回は、中国からコンテナハウスを購入する後期に遭遇する生産現場監督、納品検査の問題をご紹介いたします。是非お読みになってください。「中国からコンテナハウスを購入する時の問題(その3)――現場監督篇」