施工事例10の2 民泊・ホテル連棟コンテナハウス(実物生産)

前回の「施工事例10の1 民泊・ホテル連棟コンテナハウス(概況・設置後パース)」に続いて、民泊・ホテル連棟コンテナハウスの実物生産をご紹介いたします。JIS鋼材コンテナハウスの工場内生産風景、段取りについて色々ご理解を頂けるかと存じます。

1.生産過程

JIS鋼材コンテナハウス初期部材加工
JIS鋼材コンテナハウス初期部材加工

まず、材料を所要長さまで切断して、穴開けや端部形状整形、開先、裏当金装着などの初期加工から始まります。完成時のコンテナハウスの外形寸法やアンカーボルトとの整合性などが関わるので、一見簡単に見える作業ですが、実は非常に精密に行わなければなりません。この段階で、弊社のプレカット技術(プレカットに関して、詳しく知りたい方はこちら)がコンテナハウスの精度制御に非常に役立ちます。

JIS鋼材コンテナハウス部品組み立て
JIS鋼材コンテナハウス部品組み立て

上記諸部品に先行組立作業を加えて、コンテナハウスの端部枠ができてきます。溶接は入念に温度管理の下で行います。端部枠(コンテナの短手方向の壁面枠)はコンテナハウス組立作業の第一段取りです。これに続くのは大組立です。

JIS鋼材コンテナハウス骨組大組立
JIS鋼材コンテナハウス骨組大組立

大組立はコンテナ組立専用冶具内(画像中の右側にある白い構造物)で、各寸法を制御しながら、精密に行います。この段階で根太材(大引きを繋ぐ床支持材)、母屋材(大梁を繋ぐ天井吊材)を同時装着して、コンテナハウス枠体の剛性をさらに補強し、最終寸法の一致性・安定性に貢献するのです。

JIS鋼材コンテナハウスUT検査(超音波探傷)3
JIS鋼材コンテナハウスUT検査(超音波探傷)仕口部様子

続いて行うのは、第三機関によるUT検査(超音波探傷試験)です。コンテナハウスは命に関わる構造物であるため、主要構造部の溶接品質をしっかり把握するのに欠かせない段取りです。

JIS鋼材コンテナハウスUT検査(超音波探傷)2
JIS鋼材コンテナハウスUT検査(超音波探傷)2
JIS鋼材コンテナハウスUT検査(超音波探傷)1
JIS鋼材コンテナハウスUT検査(超音波探傷)1
JIS鋼材コンテナハウス塗装前素地処理・ショットブラスト処理後のコンテナ表面
JIS鋼材コンテナハウス塗装前素地処理・ショットブラスト処理後のコンテナ表面

構造部のUT検査を合格した後、側壁や屋根版のコルゲート鋼板の嵌め込み、開口部作りなどの溶接作業が続きます。これらの副次作業に伴う大量の溶接作業が終わったら、ショットブラス素地処理室で研磨材の微粒子の高速衝撃により、製品表面に付着した埃、油分、酸化膜を取り除く一方、鋼材表面をギザギザにし(上図左上のように)、後続するペンキ塗装の付着性をアップします。

JIS鋼材コンテナハウス完成検査1
JIS鋼材コンテナハウス完成検査1
JIS鋼材コンテナハウス完成検査2
JIS鋼材コンテナハウス完成検査2

続いて、塗装室で、所定ペンキ(今回は、後続中・上塗りペンキを日本で施すとのご要望なので、下塗りのみまでとなっております。)の内外塗装を施し、Uni-Konの各方面における製品検査を受け、完成品になります。

2.完成品風景

JIS鋼材コンテナハウス完成ホテル・民泊1
JIS鋼材コンテナハウスホテル・民泊 完成 1
JIS鋼材コンテナハウス完成ホテル・民泊7
JIS鋼材コンテナハウス ホテル・民泊 完成 7
JIS鋼材コンテナハウス民泊・ホテル完成4
JIS鋼材コンテナハウス民泊・ホテル完成4
JIS鋼材コンテナハウス民泊・ホテル完成3
JIS鋼材コンテナハウス民泊・ホテル完成3
JIS鋼材コンテナハウス完成民泊・ホテル9
JIS鋼材コンテナハウス民泊・ホテル 完成 9
JIS鋼材コンテナハウスホテル・民泊完成8
JIS鋼材コンテナハウスホテル・民泊完成8
JIS鋼材コンテナハウス片側排水勾配屋根
JIS鋼材コンテナハウス片側排水勾配屋根
JIS鋼材コンテナハウス生産ライン・軒連なる
JIS鋼材コンテナハウス生産ライン・軒連なる

後書き――コロナと戦いながら、納期を守る!

今回の受注は2020年11月中旬で、納期は日本側の竣工期日や作業員の確保スケジュールなどによって、どうしても2021最初の船便に間に合わせる(通常では1月3日程度)とのご要望でした。台数も台数で(各種12台)、材料も仕入れの遅いJIS鋼材なので、もともとの生産スケジュールでも大ピンチでした。お客様のニーズをお応えするのが我々の使命なので、所要材料が全部揃わなくとも、とにかく現段階で仕入れた材料分だけの前期加工を前もって加工処理して、全材料が揃った時点でもう組立段取りに臨むとの方針で工場と綿密に連動して対応いたしました。
不運なことに、ただでさえ困難な状況に、弊社と工場所在の大連開発区では、突然コロナ感染者が数名も発覚され、感染者所在住宅団地が封鎖されただけではなく、大連市自体も外出禁止・進入一方の片方向隔離都市になりました。こんな状況では到底材料は入ってきません。急いで工場長に連絡して「材料はどうなった?」「昨夜来たので、全部揃いました。」「おお、やった!…」、材料が入手したら、どうにもなるさ、と安心しました。午後になって、また、一部作業員は家が封鎖団地にあるので、「家に帰ったら(隔離によって)もう出られない」とのことで、「人手不足で納期に間に合わんじゃない?」となって、工場に説得して、1ヵ月工場の寮で我慢してもらうとのことで、何とか人員も確保できました。
こうして、ガスボンベもペンキも、外注加工部品も、人員も、生産要素の何もかもの供給が渋る・停滞の時期に、各段取りを綿密に調整しながら、残業を続け、何とか2021年の船便に間に合いそうになったのです。製品検査が合格し、後は出荷のみとなったのは、12月31日、もう本当に奇跡としか思えませんでした。
しかし、これで終わりではありませんでした。コロナからの最後の一難は出荷するトラックが大連港で大行列を並んで(コロナによる貨物検疫・検査で、大連港が大混乱に陥っていた)、本来トラック3台2往復で1日だけで対応できるはずの入港が大渋滞によって、2日間以上も掛かる状況でした。「製品が完成しても、船便に間に合わなかったらすべての努力が台無しになってしまうじゃないか!」と、予定金額の3倍の運賃(渋滞でドライバーが港に入りたくないから) をUni-Kon自社負担 で、追加トラック3台を頼み、1日以内でコンテナハウス12台を全数入港完了させました。結果、見事に納期を守れたのです。充実感たっぷり、達成感満点で、もう最高です!!

JIS鋼材コンテナハウスと出荷前記念写真
JIS鋼材コンテナハウスと出荷前記念写真

終わり

以上をもって、12台JIS鋼材コンテナハウスで構成された民泊・ホテル連棟の実物生産部分をご紹介いたしました。実物とパースとを対比しながら、ご覧になりたい方はこちらのリンクからどうぞ「施工事例10の1 民泊・ホテル連棟コンテナハウス(概況・設置後パース)」。コンテナハウスの生産過程について、ある程度のご理解を得られたかと存じます。また、今回の案件の中に、イレギュラーコンテナハウス(8Ftコンテナハウス)の輸送用連合体(8Ftx2台+4Ftジョイント)も出てきましたが、細かい内容も多いため、本篇では割愛いたします。ご興味のある方は、近いうち発表する記事「イレギュラーコンテナハウス」に、ご注目ください。

友達とシェアする