健全なコンテナハウスを作るには

柱・梁が太くなるだけで強くならない

JIS鋼材コンテナハウスは基本的にラーメン(骨組枠体)構造です。柱と梁部材で構成された枠体(骨組み)の頑丈さはコンテナハウスの強度を決めます。当然の思考流れとして、「じゃ、柱と梁を強くすればいいのか?」と思われるかもしれません。しかし、そうと限らないです。いくら丈夫な骨組み材(梁・柱)を使っても、繋がる部分(仕口部)が不健全である以上、骨組み材が折れる前に仕口部が先に壊れてしまい、結局何の意味もないからです。

健全な仕口部を作るには、骨組材の性能を完全に発揮させられる完全溶け込み溶接の採用と健全な仕口部構造の確保、この2点が要求されます。鉄骨構造である以上、溶接の重要性は言うまでもありません。しかし、よく見過ごされてしまうのは仕口部の構造健全性です。特に、仕口部の内部にある、外部から見えないダイヤフラムです。

テコの破壊力とダイヤ(何それ?)

このダイヤ(ダイヤフラムの略称、宝石ではありません)は柱の内部にあり、柱の断面形状を保持するための部材で、コンテナハウスの構造健全性にとっては肝心です。あっては別に見た目は変わりませんが、無くてはとんでもないことになりかねません。

その理由はてこの原理にあります。「我に支点を与えよ。されば地球をも動かさん」の名言を言ってたアルキメデスがてこの威力を強調しました。「長い棒側に小さい力を入れ、短い棒側から大きい力が出てくる」、理屈は簡単です。ラーメン構造体であるコンテナハウスの大梁はまさにその長い棒で、床や屋根から来る積載荷重(地震・台風などの水平力も)は長い棒に掛かる「小さい力」(全然小さくないけど)に相当し、梁と柱の繋がる部分に掛かるモーメント(回転力)は短い棒(梁の背高に相当する)から生じる「大きい力」です。この「大きい力」はすごいです。そのまま柱材である角パイプの管壁に加えたら、例え丈夫な鋼材でも(肉厚が薄いので)、すぐ潰れて、ぐにゃぐにゃに変形してしまいます。そんなことにならないように、柱内に添え付けたのは、上記に言う「ダイヤ」です。このダイヤは(時にはトッププレート、ベースプレートも)柱の空洞断面形状をまるで柱の一段を鋼材で充満したように増強し、大梁の上下フランジ(上下縁)から来るテコの力に抵抗するのです。

では、コンテナハウスの仕口を破壊してみよう

百聞は一見に如かず、ダイヤ有無対比の形で、コンテナハウスの仕口部をFEM解析で得た結果をお届けします。下図はいずれも、左側はダイヤ無し、右側はダイヤ有りです。梁に掛かる負荷は当該梁(図中の横部材)の保有強度の2/3程度(梁が壊れるはずのない負荷)です。また、変形結果を顕著化するため、何れも20倍変形でお見せしています。

コンテナハウスの仕口部ダイヤ有無対比2
コンテナハウスの仕口部ダイヤ有無対比1

右上視角1-左:梁保有強度の2/3だけの負荷にも関わらず、柱(縦材)角パイプ管壁がテコの力に負け、沈没変形してしまい、梁(横材)端部もバランスが崩れて激しく変形した。右:ダイヤのある仕口部は健全で見事にモーメント(回転力)を柱に伝えた。

コンテナハウスの仕口部ダイヤ有無対比1
コンテナハウスの仕口部ダイヤ有無対比2

右上視角2-左:不健全で、ぐにゃ変形している仕口部、梁断面の変形(矩形でなくなる)も激しい。灰色になった部分は鋼材の降伏力を超え、所謂、破損部位である。右:梁断面は元のままである(接触部分に灰色も点在するが、FEM解析モデルの数学上の特異点として無視できる)。

コンテナハウスの仕口部ダイヤ有無対比3
コンテナハウスの仕口部ダイヤ有無対比3

下視角‐左:下から柱の内部を覗くと、ダイヤのない柱管壁がテコ力で沈没した。図中の柱材は4.5㎜肉厚のSTKR400材(JIS鋼材)である。右:ダイヤの補強によって、全然問題なし。

コンテナハウスの仕口部ダイヤ有無対比4
コンテナハウスの仕口部ダイヤ有無対比4

断面視角‐左:真ん中から切り裂けた仕口部の断面視角、変形の具合は一目瞭然。右:ダイヤとトッププレートの補強により、柱の一段は鋼材で充満したように、梁フランジ(上下縁)から来る応力をすんなりと受け、下の柱に伝わり続くことができている。

仕口が潰れたら、どうなるの?

左側の仕口は、あれほど変形して、実質上何を意味しているかというと、例えば豪雪時のことを考えてみましょう。仮に、コンテナハウスの屋根は、単純に大梁の強度で計算すると90cmの積雪重量が耐えられるとします。仕口部が不健全であるため、実際では60cm(2/3)も満たない内に既に仕口部(柱上部)が激しく変形(破損)し始まります。運がよかったら、柱上部が折れて、大梁が撓んで永久変形が残るぐらいで済みますが、最悪の場合、骨組み材の断面形状が崩れて強度が急激に失い、更なる変形、ひいては倒壊することもありうるのです。

実際のコンテナハウス仕口部

解析図に続けて、実物も見てましょう。下図はUni-Konの提携製作工場で作られているコンテナハウスの柱部品と完成品です。柱の中に見える板は内ダイヤです。外から見ると、完全に溶け込み溶接された溶接跡が縞模様のように見えます。高熱を受けた後の微小変形も残るので、塗装後も溶接位置を判別できます。ダイヤの数は1枚と限らないです。仕口で交叉する梁の高さが違う場合、梁フランジ(上下縁)に合わせて、複数のダイヤを設ける場合もあります。

内ダイヤのあるコンテナハウスの仕口部
内ダイヤのあるコンテナハウスの仕口部

Uni-Konのコンテナハウスにはダイヤは全数完全溶け込み溶接で装着しております。

Uni-Konと工場とのやり取りは、全体イメージを掴む外観意匠図・立面図・レイアウト図程度ではありません。細かい部品加工図面、詳細組立図面までも生産現場に直接配布します。これによって、得られるメリットの一つとして、ダイヤの数量、大きさまでもが完全指定・管理できるので、工場側の生産上の都合で、見えないダイヤを手抜いたり、溶接を安易な隅肉溶接でごまかしたりすることは最初から防いでます。

作業員が外注先から取り寄せた加工部品を部品図面(弊社直配布、弊社中文名:「大連優納科国際貿易」)と照合しているところです
作業員が外注先から取り寄せた加工部品を部品図面(弊社直配布、弊社中文名:「大連優納科国際貿易」)と照合しているところです

Uni-Konから直配布した加工図面と照合している部品。右上の正方形部品はダイヤフラムです。

残念ながら、お客様自身がそこまで理解されていないのか、それとも工場側に何らかの事情があるのか、ラーメン構造であるJIS鋼材コンテナハウスであるにもかかわらず、下図のように、ダイヤフラムのないコンテナハウスもよく見かけます。常時ならともかく、非常事態の時、このような構造がどうなるのか、考えると背中が冷えます。もう一つ残念なお知らせですが、ダイヤは当初製造時しか装着できず、後から入れなおすことはほぼ不可能です。

ダイヤのないコンテナハウスの仕口部事例
ダイヤのないコンテナハウスの仕口部事例

ダイヤのあるところでは孔が開けられないので、少なくとも梁フランジ(梁の上下縁)の延長線(図中青点線)と衝突する孔の裏には存在すべきダイヤはなく、健全な仕口とは言えない。

でかいボックスだが、実は細かい

コンテナハウスは「コンテナの壁に孔を開けるくらいだろう」とよく聞かれます。大まかで、何とかどうにもなると思われがちですが、実はそうではありません。物作りは、細かいことの積み重ねです。この積み重ねの過程で、瑕疵や手落ちが残れば、利用者の利益が損なうことになりかねません。

ゼロから作り上げる新造JIS鋼材コンテナハウスの製作も同じです。上記のように、小さい・細かいダイヤが利用者の財産・命に深く係わっていると言っても過言ではないくらい大事なのです。「大体そんな感じ」、「ほぼそんな形」のような大まかな考え方は実際の製作・利用する場面では通用しません。1万2千2百ミリほどもでかい金属ボックスを、1ミリ単位でちまちま検討しないといけないのです。

終わりに

真剣に使い心地の良い、構造上も健全なコンテナハウスを作りたい方は、一軒一軒必ず3Dモデリングして細かく検討し、構造解析も行い、製造過程を現場で監理するUni-Konをぜひご検討ください。

以上をもって、JIS鋼材コンテナハウスの仕口部の大切さをご紹介してまいりました。コンテナハウスのご選定にお力になれれば幸いです。

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