施工事例17 発電設備搭載用コンテナハウス
今回の事例は、住居用や商業用ではなく、工業設備搭載用となります。お客様は通常の発電機の熱効率をさらに向上できる設備を生産するメーカーで、北海道のあるプロジェクトに応用する発電設備を搭載・格納するために、弊社のコンテナハウスをご利用いただきました。設備搭載用コンテナハウス(設備搭載用というものの、地上に固定する建築物として、建築確認申請も当然必要)は、通常の建築用コンテナハウスと何が違うかというと、重たい設備を大量に積載するための部位強化、多数の相互関連する連結ジョイントに対応するための許容精度の厳しさ、屋上にも重たいチラー(冷却塔)も搭載による高重心があげられます。これらの要求に弊社はどのように応対したか、まためったに中国で行わない内装工事(簡易的なものですが)も披露させていただきます。

1.案件概要
規格:20GP(通常高)x2台
納入場所:北海道
納入時期:2024年8月
用途:発電機器搭載用
施工範囲:躯体+内装+建具(シャッター含み)
特徴:チラー(屋上)、発電機、熱交換器など重量設備大量搭載、複数配管・配線が潜り、頑丈さと製作精度に要求が高い
2.設備コンテナの特徴(部位ごと説明)
床

今回の床は、設備搭載に備えて、強度・耐久性・メンテ性の高い縞鋼板床を採用したのです。また、設備の運転時振動抑制、運搬時の安定性などのために、設備は、単に床に置くではなく、ボルトで床板に溶接された「受け板」に固定するわけです。当然、設備との連結可否をはじめ、設備同士の相対位置、設備とコンテナの各配線配管孔との合わせなど、後続の設備据付・配線配管工事のスムーズ展開に深く関わるので、各「受け板」の位置精度をシビアにコントロールしました。
搭載設備は数百キロの制御盤から数トンほどにも及ぶ発電機や熱交換器までがあり、床の各集中荷重点ごと、床の局部の解析を行い、床下の根太の位置調整や強化を設計段階から図りました。


屋根

屋上には、2トン以上のチラー(冷却塔)を高々と設置するので、据付後のコンテナ全体重心も高くなります。台風時や地震時などに、転倒リスクがあるので、各非常状況に応じた構造解析を行い、安全性を検証してきました。人が住むわけでもなく、天井高さは低くても構わないので、少しでも重心を低くするために、いつも採用されるハイキューブコンテナ高(2896㎜)ではなく、GP(General-Purpose、通常用途)高さ2591㎜を採用したのです。チラー搭載で、常に熱い蒸気が蒸しあがるので、積雪の心配は要らないと言われましたが、やはり応用場所は多雪地域の北海道であり、1m以上の積雪にも対応できる増強屋根仕様を採用したのです。

天井

設備用とは言え、寒冷地なので、水の流れる配管が多々あり、コンテナは6面断熱仕様を採用しました。設備用で、余計な内装経費を掛からないため、清潔感のあるサンドイッチボードの採用で壁・天井の断熱と内装仕上がりを一括で整えました。
天井には、太くて重い電気ケーブルを支える配線溝と百キロほどもあるエネルギー回収設備を吊る必要があり、さすがに直接天井ボードに吊りボルトを固定するわけにはいかないので、該当位置の天井裏に吊り用小梁を入れ、吊りボルト受けを溶接しました。嵌め合い構造である天井サンドイッチボードの美観性を損なわずにして、吊りボルトを装着するのにも、かなり工夫しました。

3.設計段階パース画像と実物対比
また、いつものように、契約前の検討段階で弊社より提出される設計パース画像と実際に出来上がったコンテナハウスの対比です。「見たものは得るもの」主義なので、お客様に安心を提供いたします。では、違いがあるか、見てみましょう。










4.製造時の様子

天井裏の母屋は、根太と同様、吊り設備位置に合わせて、密度を調整してあります。


通常のコンテナハウスの合板床と違い、本件は縞鋼板(チェッカープレート)床を採用してあります。鋼板床は根太と溶接で一体化されます。配線・配管用の小型開口が多いのも設備コンテナの特徴一つですね。

塗装・内装作業前のコンテナ素体です。内装ボード固定用の下地材も溶接済み。
5.完成状態













6.終わりに

今回は、発電設備搭載用コンテナハウスで、いつもの住居・商業用と内容がかなり違っていましたが、構造の健全、高精度と高品質への追求、確認申請対応には違いがありません。写真もちょっと多めでしたが、コンテナハウスの製造へのご理解が深められれば、幸いです。
