40Ftコンテナハウスのグースネックトンネルって、何?
40Ft(フィート)コンテナハウスの運搬・輸送を検討する時、また40フィートコンテナハウスを使ってコンテナ建築を検討する時に避けられない一つ厄介な話題はグースネックトンネル(Goose-neck-tunnel)です。実は標準貨物コンテナでも、リーファー冷凍コンテナでも、オープントップコンテナでも、コンテナハウスでも、40Ft(フィート)になる途端、(通常では)装備しないといけないのはグースネックトンネルです(下図のように)。本文は40フィートのISOコンテナもコンテナハウスも共有(20フィートコンテナ・コンテナハウスにはありません)のグースネックトンネル、またそれを無くす条件について、じっくり説明いたします。
Goose-neck?ガチョウの首、ってこと?
グースネックトンネルを説明する前に、まずグースネックを説明する必要があります。グースネックとは、コンテナ専用セミトレーラシャーシ(下図のよう)の前部大梁がガチョウの首(Goose-neck)のように、上に曲って、段差を作ってからさらに前部に延伸する構造を指します。なぜトレーラシャーシはこのような形にしなければならないかというと、それは牽引トラック(トラクタ)の後部に乗せて掛ける時、セミトレーラの前部とトラック後部と干渉させないため、わざとトレーラの前部大梁を上に曲げて逃がしているのです。
それで、今度は、トレーラシャーシ前部にあるこのグースネック突起を逃げるために、コンテナ(コンテナハウスも)側の一端もトレーラシャーシの突起した分を掘り削る必要が出てきます。それで、40フィートコンテナの基盤前部中央にあるトンネルのような凹み・溝は「グースネックトンネル」と言います。その様子は、下の写真の中にある横に転んだ40フィートコンテナの基盤までご覧ください。普段では黒い闇としか見えない開口は、実は下がこうなっているのです。
グースネックトンネルで生じた不都合
グースネックトンネル、この40フィートコンテナ物流上の「必須」は実にコンテナハウス利用者にとって多大な不便と不都合をもたらしてきました。
まずコスト的には、グースネックトンネル「あり」バージョンは「無し」より高くなります。コンテナ底部写真の通り、グースネックトンネルのせいで根太が切られ、当該部分の床強度が弱化されたので、トンネル部分のコンテナ床は他の部分の合板床と違い、全面増厚鋼板となる上、補強材も追加されているからです。
それから、コンテナハウスとして利用する時、レイアウト設計に影響を及ぼします。理由は、トンネルの存在によって、上図のように前端にある下梁を上に移してトンネル開口を逃がす必要がある故、この端部下梁が床面より高くなるからです。外壁をそのまま保留する場合は影響されないですが、例えば下図の赤矢印のところのように、40フィートコンテナハウスのグースネック側の波板壁を無くして、他のコンテナと連通しようとするとき、厄介なことに、この突起した端部下梁が足を引っかかってしまいます。巧みに工夫して都合良く段差の必要なところにこの下梁を設置する手法はあるとしても、この面倒くさいグースネックトンネルをどうにか無くしたいのは設計者の本音でしょう。
例えグースネックトンネルの開口は外側に向いて内部空間的に問題ないとしても、やはり外観上「闇な開口」となり醜いです。レイアウト設計する時に、グースネックトンネルを人目に当たらない方向に向けるか(実際例はこちら:事務所・倉庫コンテナハウス)、隠せない場合はいっそのことで、蓋を設置してトンネルを塞ぐのか(実際例はこちら、レストラン・店舗コンテナハウス)の方法があります。
40Ft(フィート)コンテナハウスで建築計画時の注意事項をさらに知りたいかは左記リンクからどうぞ。
グースネックトンネルは無くせるの?
はい、無くせます、下写真のグースネックトンネルのないコンテナハウスのように(写真は日本宮崎県への納入したコンテナハウス事務所の案件のものです)。(また、今は全くグースネックトンネルなどに左右されず、自由自在にコンテナハウスの柱位置を設置できる組み立て式コンテナハウス(確認申請可能)の新製品をご提供しております。ご興味ある方は、リンクからどうぞ)
しかし、無くすには二つの条件があります。グースネックトンネルを無くせる決め手は日本陸送用のセミトレーラと経由道路にあります。(中国境内での陸運と海上運送には、グースネックトンネルの有無は関係ないです。)
まずは、セミトレーラシャーシです。実は、コンテナ・セミトレーラ・シャーシは、グースネック構造の有無によって、以下の2種類に分けられます。
上のはグースネック式コンテナトレーラシャーシで、日本は基本的にはこの種類のシャーシです。下のは「ストレートシャーシ」と言い、40Ftx1台或は20Ftx2台を自在に積載でき、汎用性が良く、中国では大半を占めるシャーシですが、日本では港付近で空コンテナ運送用としてしか少数存在しないようです。
「ストレートシャーシ」 がこんなに性能良いのに、なぜ、日本はグースネック式のコンテナトレーラばかりなのでしょうか?
原因は道路・橋梁・トンネルなど、日本のインフラ施設の整備状況にあります。日本の道路、トンネル、電線柱などは、もともと3.8mの車両限界高さを基準に作られてきたそうです。近年、この高さではハイキューブ(High-cube)コンテナが通行できない場所が多く、運送効率が悪いと言われ、通行高さを4.1mまで増高改造が全国範囲で行われてきました。増高後、高さ4.1mの車両の通行できる道路は「高さ指定道路」(国土交通省ホームページでその範囲・区域が検索できる)と名付けられました。しかし、残念ながら、これでも「ストレートシャーシ」 を応用するにはまだ高さちょっと足りないです。グースネックトレーラの荷台高さは約1.2m、ハイキューブコンテナ(約2.9m)を足すと、ぎりぎり4.1mで上記「高さ指定道路」を通行できる一方、荷台を全部グースネック部と同じ高さにしたストレート・シャーシの荷台高さは約1.3m、同じくハイキューブコンテナを載せると、4.2mとなり、4.1mを超えてしまい、せっかく増高改造した「高さ指定道路」でさえ、足りなくなるわけです。
こうして、通行できない道路が多くなり、汎用性が問題になるので、40フィートコンテナを運ぶトレーラシャーシはほとんどがグースネック式トレーラになってしまったのです。
でも、あきらめることはありません。運送会社に確認して、「ストレートシャーシ」の調達可能な運送会社はきっとありますし、設置場所によっては、4.2m高さ(40Ft標準高コンテナハウスは約2.6mで、ストレートシャーシの上でも3.9mなので、一般的には高さの問題はありません)でも通行できる道路もあります。
これで、結論が纏められます。グースネックトンネルを無くす条件は、日本で陸送する時にグースネックトンネル無しの40フィートコンテナハウスが運べることです。これを確認するのに、以下の2点にご注目ください。
1) シャーシ側:運送会社に確認して、グースネック無しの40フィートコンテナを運べる「ストレートシャーシ」の有無を確認すること。
2) 道路側:運送経由路線を確認して、ストレートシャーシに載せた標準高さコンテナ40GP(高=2591㎜)では約3.9m(高さは運送会社の荷台実測寸法に従うべき)、ハイキューブ40HC(40HQともいう、高=2896㎜)では約4.2mで、ちゃんと路線を通過できるかどうかを確認すること。
以上をもって、40フィートコンテナ/コンテナハウス特有のグースネックトンネル及びそれを無くす条件をご紹介いたしました。ご理解はできましたか?