施工事例11 コインランドリー用コンテナハウス(竣工写真)
本篇は設備付き商業系・店舗用コンテナハウスの施工案件をご紹介いたします。コインランドリーとのことで、一般の販売店や住宅系のコンテナハウスと違い、専用機器があるので、機器との接続・配管・配線などの関わり合いが多く、設置してからの不具合や干渉を予防するために、綿密な計画・設計が必要となります。厨房機器の多い飲食系店舗、専門設備を設ける設備室・変電室などをコンテナハウスで考えていらっしゃる方にとって、参考になるかと存じます。
案件概要
生産時期:2021年4月
納品場所:中部地方
コンテナ数量:40フィートx1台
内装程度:軽天下地(LGS)、6面ウレタン吹き付け断熱施工、断熱仕様アルミサッシ込み
用途:商業用・店舗用(コインランドリー)
特徴1:専用洗濯機・乾燥機の据付位置に合わせて、壁に排煙口、排水口、床版に機器用コンクリート基礎用開口をしました。
特徴2:中国から購入する予定だった商用洗濯機・乾燥機(何トン程度の重さがあり)をコンテナハウス内での同梱発送に備え、建具開口部による構造弱化部分の増強を図りました。
特徴3:総コストを抑えるために、店舗宣伝用の鉄骨広告塔をコンテナと同時製作・LED内蔵式箱文字看板などを中国市場から調達し、同梱発送しました。
コスト感覚:200万円程度(上記内装、建具、広告塔、看板を込み、日本港渡し)。
1.3次元でのレイアウトの検討
施主様からの簡略計画図から始まり、実際の建築用コンテナハウスの基本構造に合わせて早速モデリングして見えたのは、下図のプランAでした。
3Dモデリングのお陰で、使用する予定の洗濯機(業者から資料データをもらい)を「実際」にコンテナハウス内に入れてみました。予想した以上にきつい空間であることが気付きました。利用者の利用スペースと通路が重なり、洗濯機を開いたら、通行できなくなる一方、洗濯機の裏側の配管、配線スペース、メンテナンス空間もぎりぎりで、平面レイアウトで予想した状況より深刻的でした。そして方針を変更し、機器類のメンテなどにも余裕を持たせるプランBにしたのはこれでした。
プランBでは洗濯機数を若干減らしたが、利用者に利用しやすい軽快な空間になりました。メンテナンス空間も大きく、楽々になりました。
2.重量物積載:主要構造への検討
次の検討課題は構造です。洗濯・乾燥機器を中国メーカーから十何台も購入し、コンテナハウスに積み込み、同梱発送の発想から始まります。通常のISO貨物コンテナなら、側面コルゲート鋼板が主要耐力物で、コルゲート鋼板が健全である場合、40フィートISO貨物コンテナなら30トンの貨物を積んでも平気です。しかし、建築として必要とされるドア・窓などの開口部を開けたら、ISOコンテナならがっくりとぐにゃぐにゃに撓んでしまいます。JIS鋼材建築用コンテナハウスはラーメン構造で、頑丈で大丈夫だろうと考え込んでしまう方はいらっしゃるかと思いますが、そうと思い込むことは危険です。実は、建築用コンテナハウスはあくまでも建築として使用される場合の使用条件を想定して設計されたもので、何トン貨物を積んで、四隅から吊り上げられることとは使用条件が全然別物です。(側面コルゲート鋼板が全くない場合、あの長い40フィートの建築用コンテナの中央付近に4トンレベル(車2台相当)の集中荷重を加えたら、重機ワイヤーの吊角度によっては、真ん中から折れてしまう計算結果があります。だから、根拠なく、計算のない思い込みは危険です!)
今回のレイアウトプランと合わせて検討すると、正面中央に建具開口がいっぱいあり、強度が落ち、裏面はほぼ健全なコルゲート鋼板で剛性が高く、これで洗濯機などの重量貨物を入れたら、片方が撓み、片方が撓まない、全体としては捩れてしまい、建具を脅かすだけではなく、運搬時の安全性も懸念になります。
こういった懸念からさらに数回の解析を経て、強度検証合格した正面壁の増強案は下図でした。建具の上枠を副梁(下の赤い直線)で代替し、コンテナ上梁(上の赤い直線)と両梁間のコルゲート鋼板で一種のトラス梁を実現し、剛性を一気にアップしました。また、こうして設けた副梁の端部に多大な集中応力があるため、柱壁面も解析を経て一部を厚鋼板で増強したのです。こうやって得られたのは、下図のような剛性です。吊上げても頑として捩れや撓みはありません。残念ながら、機器類の中国購入は後続メンテのことが懸念され中止となり、この剛性は発揮できませんでした。
3.機械単独二次基礎への柔軟対応
また、洗濯機・乾燥機の高速回転による床共振問題を防ぐため、洗濯機・乾燥機類はコンテナの床に固定せず、単独で基礎と繋がる必要があります。コンテナハウスを据付後、機械設置用の二次基礎を打つ場所で、予め床一部を抜けてあります。言うは易く行うは難し、これに伴って、下図のように床下の根太の再設計も行いました。
ここに来て、余談ではありますが、「中古コンテナでも何とかなる」「壁・屋根・床があって、開口のないJISコンテナ「白地」だけを売ってくれ、後は自分で開口するから」と考えている方がまだ多くいると存じます。上に書いてあるように、まず、構造上の強度・剛性の問題は中古コンテナ・既存JISコンテナでは対応しがたいのがあります。壁にある複数の排煙開口やスリーブは中古コンテナに孔を空けて、枠材やスリーブ管を溶接して何とかなるとして(実は、ならない:溶接熱による変形、ペンキ焼損・劣化、溶接不良による雨漏れ、構造材に溶接されたコルゲート鋼板根元部の完全除去研磨などが異常な手間が掛かり、面倒でどうしようもない)、さすがに錆び切ったネジを緩め、床合板を全部剥げ、根太をやり直す気がしないでしょう。わざわざそうするなら、絶対に新造建築用JIS鋼材コンテナハウスの方が安くてきれいで簡単に済みますから。
4.広告塔・看板箱文字の同梱発送でコストダウン
総施工コストを抑えるために、中国で購入できるもの・製作できるものを全部中国で済ませることで、大幅のコスト節約効果があります。(コンテナに積み込んで、同時発送で、運賃も節約できます。)店舗の道端で立てる予定の広告塔の鉄骨部分を単独日本で専門業者に頼んで、設計・加工・運送してもらったらもっと掛かるかと存じますが、今回はコンテナハウスと一緒に注文いただいたので、この全長6mの植付式広告塔鉄骨部が10万円以下のコストで済みました。同じ理由で、4m長さのLED内蔵の箱文字「COIN LAUNDRY」も同じく中国購入・同梱発送となったのです。
5.生産・出荷・納入風景
終わりに
以上をもって、施工事例11コインランドリー用コンテナハウスをご紹介いたしました。ご覧の通り、複雑な設備を大量に入れる設備室用コンテナハウス、厨房機器を大量に入れるキッチン・厨房コンテナハウスなどのプロジェクトでは、3次元設計検討と主要構造の応力解析検討が案件成功するのに、欠かせない技術手段です。類似な案件を計画されている方、悩みを抱えている方、是非一度Uni-Konにお問い合わせくださいませ!