施工事例9 事務所・倉庫コンテナハウス(竣工写真)
今回は、Uni-Konが2020年11月千葉県に納入した40HQx3台の事務所・倉庫コンテナハウスの案件をご紹介いたします。
基本状況
- 納入時期:2020年11月
- 納入場所:千葉県
- 基本構成:40HQコンテナハウス2台連棟(事務所)+40HQコンテナハウス1台単棟(倉庫)
- 配置仕様:断熱仕様アルミ建具(ペアガラス+断熱枠)、LGS軽天下地+ウレタン発泡断熱、F4☆相当合板床、アウトドアデッキ材付属)
- コスト感覚: 500万円以内(3台合計、東京港渡しの運賃、保険、アウトデッキ、建具含み)
- 納期:50日間程度
案件特徴のご紹介
特徴1:勾配屋根
通常の貨物コンテナの陸屋根と違い、連棟に応じて、両側に排水できるような両端下げの勾配を設けてあり、水に弱いコンテナ連結部を中央最高位置に置き、水漏れのリスクと雨水溜まりによる長期腐食を回避しています。単棟の倉庫側も同じく勾配屋根にし、デッキ側への排水を避けました。
特徴2:デッキ部材の中国直仕入れ
コンテナハウス、一応コンテナなんだから、空っぽのままで中国から輸入したら運賃はもったいないし、日本で市販されている建材の多くも中国輸入の二次販売だし、中国からコンテナハウスを購入するきっかけで、同工事で使う建材を中国から直輸入することはお得だし、簡単です。例えば、今回はアウトドアデッキ部材は中国のデッキ工場から低価格で直購入し、そのままコンテナハウスに梱包・発送しました。通関関係・手続き上も便利で、他のコンテナハウス部品類(窓やドアなど)と同様、デッキも本コンテナハウスの一部なので、「コンテナハウス」以外の輸入申告手続きは不要で、ものすごく便利でコスト低減効果があります。
特徴3:中国製アルミ建具
コンテナハウスは運送上の寸法制限を受け、柱間距離や高さなどは日本の一戸建て建築のように建具の寸法都合に合わせて微調整することはほとんどありません。調整することがあるとしたら、逆に建具側は建築構造に合わせて、寸法を調整することになります。しかし、日本の建具は各メーカーの提携協定により寸法・規格は数種類に限定されていて、特注でない限り、コンテナハウスへの応用は多かれ少なかれ、設計上の不都合が出てきます。一方、中国の建具は誂え生産が基本で、色・寸法・枠材種類・ガラス種類・金具類など、指定と組み合わせが自由で、意匠設計上が便利です。メリットはそれだけでなく、コスト感覚が日本の同類製品の1/3~1/2程度で、コストパフォーマンスがとても高いです。今回の案件はこの辺の事情を考慮して、中国製アルミ建具をご選定いただき、断熱仕様アルミ枠+強化ペアガラスの高スペック製品でした。これのお陰で、下図のコンテナ端部にピッタリと嵌め込む大型FIX窓が実現できたのです。
コンテナハウスはどうやって作ったの?――思いから実物までの段取り
1.曖昧なイメージを明白なモデルに変える
すべては施主様の脳裏にある「理想のコンテナハウス」のもやもやするイメージからスタートします。そのイメージは簡単な平面図や手書き絵で私たちに伝えられ、そのまま3次元モデルに反映してお見せします。3次元モデルはもやもやするイメージや手書き絵と違い、すべてがはっきりしていて、衝突や干渉、不具合などの問題点はすぐばれてきます。双方ともいろんな視角からパースを見て、修正を加えて、また見て、のような繰り返しを通って、だんだん3次元モデルは「理想の彼方」に渡っていきます。
2.モデルを物理学的にも成立させる
見える部分が決まったら、今度は見えない部分(しかもより大事な部分)の検討が始まります。本当に3次元モデルのままで、コンテナハウスを作って大丈夫だろうか?力学上問題はないのか?これらの問題を解けるため、コンテナハウスの骨組に建築の用途負荷や建築場所の災害要素の最悪の条件の組み合わせを加え応力解析を行い、柱梁の断面性能、アンカーボルトの強さなどを含めて全面的に検討します。問題なければそのまま続行、問題あれば増強対策や構造変更などを講じて、問題解決まで再解析の繰り返しです。こうやって得た設計は初めて外観の設計だけではなく、人命や大事な財産を託せる設計になるわけです。
3.モデルから図面を生成する
上記内容に沿って固まった設計が数枚の申請図面(主要平面図、立面図など)と、その10倍くらいの量もある工場生産図面・資料すなわち詳細図面(部品一つ一つまで分解する必要があるから)に凝ってきます。申請図面は建築士様の追記・承認を加え確認申請手続きに提出し、生産図面は工場作業員の生産依拠として、直接工場や外注先などに配布します。
ここにきて、「詳細図って、普通は工場が描くもんじゃないの?」と言いたい方がいるかと存じますが、弊社は以下の理由で、詳細図面まで敢えて一貫しています。
1.コンテナハウスは一台ずつ違うワンオフ設計になりがちなので、設計・製図の仕事量が上図をご覧の通りかなり多いです。工場は製造に特化した組織であるので、設計力が一般的にはさほど強くないです。台数が少ないわりに設計の多い仕事が嫌いで、相手にしてくれない場合があります。
2.工場の設計レベルやコミュニケーションの勘違いや不十分によって、図面描きの段階で人為的な設計ミスが発生しやすく、ひいて生産途中のトラブルが起きやすく、不安要素が多いです。それに対し、弊社は顧客と綿密な遣り取りを経て、設計意図や需要を完全に反映した3次元モデルより直接生成した図面は機械による計算なので、人為的なミスや勘違いによるミスはほぼありません。
3.全体イメージを掴むだけではなく、細かい部品1個1個の寸法まで把握したほうが、品質管理上、顧客対応上、生産日程管理上、設計中途変更上、非常に有利になるからです。例えば、品質管理上の一例を挙げましょう。柱梁仕口部の中にある内ダイヤフラムは、殆ど製造途中しか見えない、しかも応力伝達上非常に肝心な部品です。形としては単純で、柱鋼管内壁に溶接する鋼板だけですが、その溶接は完全溶け込み溶接が要求されるに対し、どうせ見えないので、生産上の都合でダイヤフラムを大きくし、やりやすい隅肉溶接でごまかす工場もあるようです。弊社は部品加工図面まで描くので、柱内径より一回りも小さく加工したダイヤフラムは完全溶け込み溶接でなければ、溶接できなくなる仕組みなので、隅肉溶接でごまかせなくなります。(内ダイヤフラムについてもっと知りたい方は、「健全なコンテナハウスを作るには」をお読みください。)
4.図面から実物になる段階を見守る
生産開始してから、生産の全過程に伴う5~8回の中間監督検査(材料・枠組立・大組立・塗装・建具・断熱工事などのキーポイントで中間検査を設ける)が続きます。数回の中間検査を設けて、生産の各段階を見守っているので、問題の早期発覚・解決ひいて納期の確保、完成後見えない部分の検査チェックなど、完成品だけを通り一遍の検査より遥かに確実です。
5.実物出荷前の最終チェック
生産完了後、ボルト孔合わせなどの仮組や付属部品の員数検査を含めて、入念な完成検査を行います。今回の員数検査でも、また「収穫」があり:引違戸鍵一本が足りず、作業員に全工場を探しまくらせた結果、とうとうゴミ袋の中で発見。。。「シールが貼り過ぎて、ごみに見えちゃった」らしいです。このまま出荷してしまったら大変なことになります!まあ、人間がやることなんだから、絶対にミスがないわけもないですが、弊社は2重、3重の検査体制で、トラブルやミスを全部中国工場内で済ませておいて、「お客様に悩みのない・安心・満足のできる製品しかを納入しないこと」を常に心掛けております。
6.諸検査を合格し、出荷します~
終わりに
今回は40HQx3台からなる事務所・倉庫コンテナハウスの新規案件をご紹介いたしました。Uni-Konは「思い」を「画像」に、そして「画像」を本物に変えるJIS鋼材コンテナハウスの専門サプライヤです。設計検討打合せから、工場生産図面生成も含めて、最後の製品検査までの一貫対応体制だからこそ、安心のできる高精度・高品質のコンテナハウスをお手頃の価格で提供できております。あなたも「思いを本物に」してみませんか?